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AI 時代に人事、企業の組織文化が大きく変わろうとしている。日々変わっていく中で、その変化の兆しを探っているのがdentsu Japan の「Human Capital Growthセンター」だ。「人事、組織領域の戦略だけではなく、人の心が動くクリエイティビティー、さらにAI、テクノロジー、データを掛け合わせながら、組織、人事の課題にお応えしています」と役割を説明するのは、電通で第2 ビジネス・トランスフォーメーション局の局長を務める山原新悟氏。

電通だけではなく、dentsu Japan の電通総研、イグニション・ポイント、電通デジタル、Human Capital Lab から、専門性を持ちすでにさまざまな取り組みを行っているメンバーがグループ横断でバーチャルチームを構成している。「タレントマネジメント、人事制度、データ、マネジメント、企業文化、全てのベースとなる組織人財戦略、人財ビジョンと、あらゆる領域でのサービスを提供できる体制が整っています」(山原氏)。
人事、組織はAI 時代にどのように変わっていくのだろうか。山原氏は仮説として、「既存の業務プロセスで『既存領域を磨く』、それに『人財を動かす』『新領域を創る』という『磨く』『動かす』『創る』の3 つが回るループで人と組織、それを通じて事業が成長していくモデルを考えています」。このようなモデルを基に、Human Capital Growthセンターはすでにいろいろな取り組みを顧客企業と一緒に進めている。

dentsu Japan はそのモデルから人事や組織全体の考え方や行動をまとめたアクションマップを作成している。アクションマップの中心に『守るべき企業と組織アイデンティティ定義』が置かれている。その理由は、「AI 時代こそ自社のDNA、自社ならではの価値、自社が大切にしてきた哲学がより大事になります」(山原氏)からだ。守るべき企業の組織とアイデンティティを再度言語化し、可視化しながら、その上で人財ポートフォリオと事業のポートフォリオを最適化していくとの考えだ。
その上で、『磨く』『動かす』『創る』の3 つのプロセスを回し、それを常に動的にモニタリングしながら改善していく。『AI 時代の人と組織を支える企業情報の基盤』を整えていくことも、「これからの組織、人事、さらに事業の成長につながる新しいアクションのループになっていくとわれわれは考えています」(山原氏)。

AI 時代の人事についてマクロの観点から見通しを語るのは、イグニション・ポイントでHR、組織文化領域のコンサルティングチームをリードしている石橋誉氏だ。経営と人事を連携させる人財戦略は人財ポートフォリオを作ることが求められる。『現在の事業』と『将来の事業』を読み解き、人財要件、要員数を可視化し、そのギャップを踏まえた上で人財を異動、配置、採用していく。石橋氏によれば、「その人財ポートフォリオは、AI によって大きくインパクトが出てきている領域があります」。
人財ポートフォリオとして、『付加価値創出(企画・創造)』を担う『プロデューサー』『スペシャリスト』と、『既存の事業・業務の運用』を担う『マネジメント』『オペレーター』の4 象限を考えた場合、「AI の進行によって大きな効率性が図られる領域、特に『マネジメント』『オペレーター』については、生産性がこれまでよりも格段に向上してくと予見できます。生産性の変化も連続的ではなく、非連続的に上がっていく可能性があります」(石橋氏)と考えています。
一方、「イノベーションを加速させていく観点で、『プロデューサー』『スペシャリスト』は質も量も上げていくことが求められます」(石橋氏)。ではその人財の供給源は何か。「採用するだけでなく、『マネジメント』『オペレーター』から人をシフトさせる観点もポイントです。これができないと、『マネジメント』『オペレーター』を磨いたところで、生産性は上がらないと考えます」(石橋氏)。

そこで石橋氏が提案するのが『WithAI 時代の人財ポートフォリオ』だ。「AI を活用することを予想した上で、人財要件や人材タイプを決めることが求められます。人財ポートフォリオは要員の人件費や要員数だけを見ていたことが多いのですが、今後はAI という人ではない領域も合わせて管理していく必要性が出てきます」(石橋氏)。
人財ポートフォリオは、中期経営計画に合わせて3 年に1 度策定し、その後はモニタリングだけという会社が多いのではないだろうか。「これだけAI が進んできているので、事業と人事の事情は刻一刻と変わっていきます。特に将来の人財ポートフォリオはAI の活用度によって大きく変化すると考えられます。今の人財ポートフォリオがいつまで使えるかも含めて、動的な見直しが必要になってきます」(石橋氏)と時代の変化への対応が重要と強調している。
人と組織の変化を現場目線(事業側の目線)から見ているのが、電通のビジネス・トランスフォーメーション領域の中で特にAI 領域をリードしている藤本眞一郎氏だ。顧客企業のAI 変革コンサルティングなどを担当、さらに電通グループの中でのAI 開発を推進している。
「『人の業務・AI・データがそれぞれつながって、最適化されていく』構造の変化が起き、人とAI が協創しながら『磨く』『動かす』『創る』のサイクルが回る変革のプロセスが動いていきます」と、藤本氏は変化の大きな動きを捉えている。AI が業務に取り入れられることで、企業の中のデータがAI に認識できるように整理されていく。業務ごとに作られたエージェントが自律的に相互連携しながら業務を駆動し合うようになる。業務が交わっていき、人が部署を超えてより対話しやすくなる。業務や意思決定がそれまでの組織を超えて溶け合っていく。そのようなことがすでに起きていると断言する。


藤本氏の顧客企業ではさらに、「各部門の業務が溶けあうことで人や組織が同質化してしまう恐れを企業が持ち始めています。それを避けるために、多様性をどのように担保するか。企業のDNA をどのように言語化して多様性に生かしていくかが大切ですと話をしています。特に『多様性』『らしさ』『DNA』のようなものを言語化することで組織の価値を創ることが大事だと議論をしています」。
例えば自動車会社のR&D 部門の顧客には、「AI が瞬時に答えを出す時代だからこそ、重要になるのは人間が思考を高めることであり、自社固有の「らしさ」をAI エージェントに実装すること。人とAI が協創する中で、その企業『らしさ』を具現化することが大事だとお伝えしました」(藤本氏)。『らしさ』とは別の視点として、「AI 時代に従業員がAI を使って、どのように思考を成長させていくのかをガイドラインにしていく。つまり、AI 時代に成長のガイドラインを作っていくことも大事だと話しています」(藤本氏)。
顧客企業のAI 変革コンサルティングを通して藤本氏に見える世界は、「『らしさ』こそが大事。AI 時代にデータ、業務、AI がつながっていく中で、その企業の『らしさ』を言語化し、それが組織価値を高める。そして何よりも企業の人が熱量高く働き続けられるためのガイドラインを策定することが大事だと考えています」(藤本氏)。

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