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三笘 亜樹 Aki Mitoma
株式会社 電通 / サステナビリティコンサルティング室 / 事業推進コンサルティング部長

四之宮 壮平 Sohei Shinomiya
株式会社 電通グループ / グループサステナビリティオフィス / チーフ・ディレクター
INDEX
dentsu Japanの知見を結集し、一気通貫で顧客企業を支援できる体制を構築
電通グループ自身が率先して変革を実践、知見を顧客企業への提案に生かす
個々人のバックグラウンドをサステナビリティ領域でも発揮
電通グループだからこそ実現できる、ワクワクするサステナビリティへの取り組み
《この記事は、2024年11月15日「Business Insider Japan」で公開された記事を一部編集し、掲載しています》
電通グループの国内事業を統括・支援するとともに、国内約150社のグループ企業を持つdentsu Japan(国内電通グループ)は、2024年8月からサステナビリティ推進支援プログラム「SUSTAINABILITY TO IMPACT」を提供している。
なぜ、dentsu Japanが顧客企業のサステナビリティ変革に取り組むのか。そこに今まで広告・マーケティング領域で培ってきたノウハウがどのように生かされているのか。
Business Insider Japanの共同編集長・ブランドディレクターである高阪のぞみが、株式会社 電通 サステナビリティコンサルティング室 事業推進コンサルティング部長の三笘亜樹と、株式会社 電通グループ グループサステナビリティオフィス チーフ・ディレクターの四之宮壮平に、その思いを聞いた。

Q.dentsu Japanでは「SDGsに関する生活者調査」や「カーボンニュートラルに関する生活者調査」をはじめ、さまざまなサステナビリティ関連の調査、取り組みを継続的に実施されていますが、今このタイミングでサステナビリティ推進支援プログラム「SUSTAINABILITY TO IMPACT」をリリースされた背景を教えてください。

株式会社 電通 三苫 亜樹
三笘:従来からdentsu Japanでは、各社の特色を反映した多種多様で幅広いサステナビリティのソリューションを提供し、サステナビリティ目標の達成を通じた顧客企業の企業価値向上を支援してきました。いろいろな顧客企業のお話を伺いますが、相手・部署によって課題も取り組みのフェーズもさまざまです。この状況を受けて、dentsu Japanの知見を結集すれば、顧客企業の課題を一気通貫で解決できると考え、ご支援できる内容の全体像を可視化した「SUSTAINABILITY TO IMPACT」を作ったという流れです。
Q.「SUSTAINABILITY TO IMPACT」はどのようなソリューションパッケージですか。顧客企業の反応はいかがですか。
三笘:もともとdentsu Japan各社で行っていたソリューションを、体系立てて独自のフレームの下にまとめています。「サステナビリティ経営」「人権」「PEOPLE」「PLANET」「INNOVATION」を縦軸、顧客企業のステータスを横軸に、サステナビリティ経営全般のご相談からテーマごとの支援まで、顧客企業の取り組み状況や課題に応じたソリューションを提供しています。反応としては「いっぱいあるね」と言われますね(笑)。これを全て一気に実行するのではなく、今の状態や、実現したい姿をお伺いし、取捨選択できるようにしています。

Q.dentsu Japanの顧客はどういった企業が多いのでしょうか。
三笘:dentsu Japan内には各地域に根差した会社や、特定の事業領域に特化した会社などもありますので、規模や事業領域にかかわらず、さまざまな企業のご支援をさせていただいています。サステナビリティは地域活性化も1つのテーマですので、地域活性化を目指して、地域と密着した中小企業の課題解決のご支援も実施しています。企業の規模だけでなく窓口もさまざまで、環境やサステナビリティ関連部署の現場の方はもちろん、経営層とも直接関わらせていただくことも多くあります。
Q.「SUSTAINABILITY TO IMPACT」は羅針盤のような位置付けだと思いますが、具体的にはどのようなかたちで顧客企業とプロジェクトを進めているのでしょうか。
三笘:例えば、既にサステナビリティ経営に取り組まれている企業のケースだと、「開示について戦略を立ててきたけれども、それを従業員に浸透させて社内で『みんなごと化』して取り組む方法が分からない」というご相談をいただきました。
既にサステナビリティレポートを冊子として出していても、サステナビリティの取り組みと事業成長との結びつきや、従業員の自分事化に課題を感じている企業は多く、現状がどういう状態かアンケートを取って分析したり、自分事化につながるような仕掛けを施した全社活動を顧客企業の方々と一緒になって考案したりしています。
私たちは長年広告会社としてビジネスをやってきた中で、一貫して「人の心を動かす」「人の行動を変えていく」ことに注力してきました。事業領域が拡張しても、今まで培ってきたこの知見やノウハウは、変わらず私たちの強みです。このDNAを生かして、サステナビリティ領域でも最適なソリューションの提案に努めています。
Q.「SUSTAINABILITY TO IMPACT」は、電通グループのDNAを生かしたソリューションなのですね。

株式会社 電通グループ 四之宮 壮平
四之宮:はい。そもそも「SUSTAINABILITY TO IMPACT」は、電通グループのサステナビリティ経営をベースにしています。顧客企業のサステナビリティトランスフォーメーション(SX)を支援するには、われわれ自身が実践できてないと説得力がありません。われわれが変わり続けるから、顧客企業の変革のお手伝いができると考えています。
従来の企業経営は利益を上げて株主に還元する短期的な考え方でしたが、サステナビリティ経営はもっと長期的に社会のために何ができるか、という視点で企業の在り方を捉え直さなければなりません。これを実践するには、自社のDNA、パーパス、ビジョン、経営方針とあらためて向き合った上で、具体的な取り組みに落とし込んでいく必要があります。
電通グループもそのプロセスを経ており、われわれにとっての「サステナビリティとは何か」を策定したものが、2024年にアップデートした「2030サステナビリティ戦略」です。

三笘も言うように、当社は123年の歴史の中で、扱う領域が通信、広告、マーケティング、イベント、スポーツ、エンタメ、コンテンツ、デジタル、データ、サステナビリティと広がってきましたが、いずれも人の考えや行動に変革をもたらし、社会に活力をもたらすことを軸としています。このぶれないDNAのバトンが123年ものあいだ代々受け継がれてきました。そしてそのバトンは、今われわれの手にあると捉えています。
Q.電通グループ自身が実験台となり、SXを実践して得た知見をソリューションに盛り込んでいるのですね。ステークホルダーの中には企業価値をどうしても短期で見る方もいらっしゃるでしょうから、苦労することも多いのではないでしょうか。
四之宮:そうですね。長期の視点に立つことは業績と矛盾する概念ではありませんが、従来の経営とは違う新しい領域です。電通グループは経営方針として「B2B2S(Business to Business to Society)」を掲げ、CEOを含めた経営陣が「SXは必要だ」と心から納得しているから、今、変革が加速しているのだと思います。
三笘:顧客企業においても、短期的な利益と中長期的な利益、経営と現場といった視点の違いもあり、実行力を伴った中長期的な計画の具体化に苦労している企業も多いですね。
経営層の中でもギャップはあるので、経営層全員に率直に意見を聞きますし、必ずその企業のDNAも聞いています。すると「昔から生物多様性に関わってきた」など、その企業なりの言葉で出てくることがよくあります。
持続的で実行力のある取り組みにするには、企業のDNAを軸とした戦略を策定し、従業員が腹落ちした状態で取り組めるようにすることが不可欠です。実際に「独自のDNAを生かした取り組みをしたい」「パーパスに資する活動をつくりたい」といった相談が増えています。
DNAを生かした戦略を組み立てるからこそ、経営陣の足並みがそろい、現場も納得して取り組める。それが自社で実証されているということがよく分かりました。
Q.ところで、少しお二人のバックグラウンドをお伺いしたいのですが、これまでのご経験と今のサステナビリティ関連業務とで、変わったところはありますか。四之宮さんは北京やロンドンの駐在経験がおありと伺いました。

四之宮:子どもの頃は父の仕事の関係で、南米のペルーやベネズエラで育ちました。そこでは信じられないような経済格差、社会格差がありました。それが経済や社会の仕組みに問題意識を持つ原体験となっています。
電通入社後、ロンドンで財務管理を担当していた時に、ちょうどCOP26(国連気候変動枠組条約第26回締約国会議)があり、産業革命前からの気温上昇を1.5度に抑える努力を追及することが宣言され、世界の金融機関が脱炭素実現に向けて「GFANZ(ジーファンズ)」という団体をつくりました。
そのダイナミズムを横目で見ていた時に、現在の部署が立ち上がる話を耳にし、手を挙げて参画しました。子どもの時に感じたモヤモヤした問題意識に取り組むなら今しかないと思ったんです。
Q.三笘さんはいかがですか。

三笘:私は仕事の内容や姿勢はあまり変わらないんですよね。これまでも顧客企業の課題は何か、その先の社会や人々がどうすれば豊かな生活ができるのかを考えながら仕事をさせていただいていました。
その手段として手掛けたのが広告だったりDXだったりで、今はサステナビリティを切り口にして課題解決に取り組んでいます。
社会や人々の生活の変化に合わせて提案するソリューションは変わってきましたが、取り組んでいることの本質はそれほど変わっていないと思います。
Q.電通グループでのSXは進んでいますか。
四之宮:はい。電通グループはこの2年で、サステナビリティの領域で企業を格付けする国際的なESG投資指標「DJSI world」の構成銘柄に初選定され、「Sustainalytics ESG Risk Ratings(Low risk)」「MSCI ESG Ratings(A)」などの評価が格段に上がりました。推し進めてきた電通グループの取り組みが、世界的な評価機関から認められているということですし、欧米では格付けが取引にも影響を及ぼすため、株価を支えることにもつながっています。
三笘:そういった社外からの高い評価はニュースリリースで発信されますし、社内掲示板にも掲載されます。従業員も「会社が国際的に評価されているんだ」と知るとやはりうれしいですし、誇りを持てる。そうすると興味も持ち始める。
さらに、毎月、四之宮さんのチームが従業員向けウェビナー「サステナ・リーダーズ」を開催していて、これが面白いんですよ。内容はとても勉強になるし、サステナビリティに関わる現場従業員の活動や思いをdentsu Japan全体に発表できる場でもあるので、モチベーション向上にもつながります。
四之宮:そう言っていただけるのはうれしいですね。「サステナ・リーダーズ」では、グローバルを含めた最新のサステナビリティのトレンドを伝えています。約1時間の配信でリアルタイムに約800人が視聴。その後アーカイブ視聴もできるのでかなりの人数が見てくれています。
視聴後のアンケートでは「自分に何ができるか考えてみます」という回答もありました。それがまさに望んでいることです。社会を変えていくためには、まずは従業員1人ひとりが興味を持ち、行動に移していく必要があります。

Q.「サステナ・リーダーズ」、皆さんがとても楽しそうに出演されていることだと想像できます。
四之宮:そうですね、私のチームは事業部門経験者がほとんど。「サステナ・リーダーズ」に登場するdentsu Japan従業員にも視聴者にもワクワクしてもらえるように、さらに、顧客企業のご支援につなげられるようにと、事業部門での経験を生かして検討を重ねながら運営しています。従業員の前向きな反応が見えるので、やりがいがありますよ。
三笘:分かります。見ていると伝わってくるものですよね。
Q.今後取り組みたいことはありますか。
四之宮:今年からわれわれのチームが中心となって統合レポートを作っています。従来はファイナンス部門が主に株主・投資家に向けに制作していた冊子を、サステナビリティチームがマルチステークホルダー視点で作るというのは、電通グループのSXにとって象徴的な動きです。社内外からの反応もとても前向きです。
統合レポートの現場責任者として、今後も変革し続ける電通グループのストーリーを、従業員や顧客企業を含む幅広いステークホルダーがワクワクするような形で発信していきたいと思っています。
三笘:「やらなきゃいけない」と考えがちなことが多いサステナビリティ領域では、「ワクワク」が特に重要なポイントだと私も思っています。顧客企業の中でも、サステナビリティ担当者が「実は社内で賛同をなかなか得られなくて⋯⋯」と孤独を感じているケースは少なくありません。
「サステナビリティの取り組みはワクワクして楽しい」と感じていただくことで、社内でも賛同を得られやすくなり、「一緒に取り組みたい」という人も増えていくと思っています。社会に対してのワクワクはもちろん、取り組む関係者全員をワクワクさせられるようなソリューションを提供していきたいです。

お話を聞いていた会議室の空気が、ぱっと明るくなった瞬間がありました。それは、三笘さんが「サステナ・リーダーズ」に触れたとき。
「サステナ・リーダーズ」は、四之宮さんの部門が制作し、月1回配信している電通グループの動画番組だそうです。サステナビリティの専門部署に限らず全社で視聴され、同時接続で800人もの人が見ていることもあるとか。
難しい話を正しく伝えるだけでなく、当事者たちがワクワクしながら伝えると、自然と人は集まってくるんですね。「人の心を動かすこと」に創業以来取り組んできた電通グループの強みがここにあると思いました。
(聞き手:Business Insider Japan共同編集長・ブランドディレクター 高阪のぞみ)
(Business Insider Japan Brand Studio)
この記事は、過去に 2024年11月15日「Business Insider Japan」で公開された記事を一部編集し掲載しています
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